そして毎日はつづいてく

I am always prepared to lie

4月5日の駄文

川沿いを歩く。一本だけ生えている桜は満開にはまだ遠い。近隣の保育園の園児たちが河原を走り回る。いたずらっ子に帽子をとられて声を上げて追いかける子がどこか愛おしい。川の流れは緩やかで、しかし淀みを感じさせず、その鷹揚さに癒されている自分がい…

1月から3月の短歌まとめ その1

生まれたらひとりぼっちで死んでいくぼくらはそんな風に生きてる イヤホンのLとRを逆にして戸惑いながらわざと泣く夜 指鳴らしパチンと世界を変えてしまう元のぼくには二度と会えない 穏やかな春の陽気を身にまとうきみに会いたいきみに会いたい 欄干に登っ…

4月4日の駄文

久しぶりにブログを公開してみる。少し事情があって、あらゆる接点を断ちたかったということがあったのだけれど、しかしわたしは、ずっと文章を書かないということをどうしてもできないようだ。さて、3月の末に退院してきた。日常にひとまずは復帰できてい…

1月31日の駄文

寒い1日だった。強い風が吹くたびにへこたれそうになった。早々に咲いた梅の木にはメジロが数羽いて、花の蜜を吸っている。昨日の暖気で誤って咲いたようなタンポポが一輪枯れた芝生にあって、バカだねぇと話しかけてみる。寒さの中にあっても、春は確実に近…

1月25日の駄文

見上げれば相変わらず抜けたような空で、眼下には西武多摩湖線が走る。びゅうびゅうと風が吹き付け、早咲きの梅が散ってしまうのではないかとわたしは心配に思う。単調な日々。あらゆる見舞いを拒否し、他人を忌避し、あえて孤独に身を寄せてそれらしく振舞…

1月22日の断片

伸びた手から伝わる柔らかい体温は 心を震わせるには十分で それは喜びであり 救いであり 同時にあり得ない幸福への恐怖のようでもあった望まれてないホームランを打ってしまった少年のような気まずさで、多幸感も生命感も含まないアルカイックスマイルを浮…

はてな題詠「短歌の目」2017年1月

1.編 デタラメな編集繰り返した結果あるがままなど見る影もない 2.かがみ 少しだけ前かがみになり話聞く背の高いきみが大好きだった 3.もち あとはもうきもちの問題ゆっくりとこの人生を閉じていく音 4.立 立ち上がる瞬間の勇気 雨の降るダム湖の底に飛び込…

1月18日の断片

雨を伴わない朝焼け 担保されない連続性 二度と会えない誰か 心配され続ける一日 全く浮かばない短歌 焼けてくれない夕空晴れた空を戦闘機が割っていくのをただ眺めるのだけれど、そこから世界が割けて別の次元が漏れ出して、病気にならなかった世界線にたど…

1月12日の駄文

いつも通りよく晴れた1日だ。病室には午後から陽がよく差し込む。ぽかぽかと暖かく、まるで春が勘違いしてやってきたみたいに感じる。でもそれは気のせいで、外に出るとちゃんと真冬の気温をしている。秋に入院したのに真冬になってしまった。二ヶ月の予定が…

1月上旬11首

一人では耐え切れなかった新年がまた当たり前にやってくること 新年の穏やかな陽に照らされて昼寝の犬がチリリと光る ヒュプノスに寵愛されし魂はやがてタナトスに導かれてく 友だちも家族も恋や愛さえも生きる動機に少し弱くて どこまでも快晴の空はうんざ…

1月2日の駄文

年が明けた。生きたまま2017年を迎えるなんて思ってもいなかったから、不思議な感じがする。実はもうとっくに死んでいて、自分だけが生きていると錯覚している。いつもそんな気分になる。きっと本当にそうなのかもしれない。今日、病院に戻ってきた。病室は…

12月30日の駄文

冷え込んだ河原を犬と夫と一緒に歩く。空気がシンと澄んでいて、丹沢山系の山々やその奥に大きな富士山がくっきりと見える。なんでもない景色だけれど、入院中の一時帰宅の身からすると胸を打つものがある。夕焼けならなおさらといったところだけれど、今日…

2016年の自分で好きな5首

月面できみが好きだと叫ぶような届かぬ仕方で伝える愛だ 文明の力を駆使して友となり近未来にてしばし語らう いやになる毎日朝がちゃんとくる生きてくことが期待されてる ぼくは泣くきみといる未来を思う何十年も続く夕焼け 知ることはほんの少しずつ死ぬこ…

ちょっと前の9首

帰り道やらかい夕日に照らされてひとりぼっちの影がのびてく いやになる毎日朝がちゃんとくる生きてくことが期待されてる 望んでもいない命の結末を運命などに任せられるか 病室に西日が射して郷愁が胸を突く帰る土地もないのに 病室の無音は多弁たくさんの…

最近の10首

夏頃はうっとうしかった前髪も冬にはホットココアに似合う 病院で吐くため息はいつもより重くてぼくは少しずつ減る 生命のしくみを知ったその朝に機械に生まれたかったと泣いた 夢を見た全部忘れた朝だった 手のひらをぎゅっとにぎりしめてた 俯いたぼくでも…

夏頃詠んだ脈絡ない6首

会いたいと言葉にできるはずもなく昔のメールだけで生きてる 蝉の音がきみの泣き声かき消して背中の湿気だけがリアルだ 太陽に愛されてるただそれだけで好きじゃなかった夏色の花 好きならば好きと言えればよかったが好きと言えないほど好きだった 秋色のカ…

短歌の目 12月 忘れない

題詠 【おでん】 おでんなら大根ばかりを食べるきみだからぼくだけ見てくれるだろう 【自由】 果てしない自由を前に立ちすくむ(ここはモニタで監視されてる) 【忘】 忘れない コクピットから見た景色 群青に空が染まってくのを 【指切】 泣きながらたった4字…

12月9日の駄文

夕日が街中をオレンジに染め上げる。病室の窓から見える動物実験棟やさまざまな木々は逆光を浴びてまるで影絵みたいに映る。孤独が克明に浮かび上がる夕間暮れ。寂寥感に満たされた空。しかし同時に世界はみんな孤独であると教えてくれるような夕景だ。どこ…

12月8日の短歌

落葉が視界を塞ぐ瞬間にきみは大人になったみたいだ神様はいると思った帰り道 命の色に染まる街並み夕空がすべて許してしまうから今更思い残すことなど

秋の景色2首

夕凪の街を包んだオレンジがぼくらのすべてを祝福してる 窓枠の正方形が切り取った紅葉を背に鳥たちが飛ぶ

さびしんぼ短歌5首

シンとした部屋で一人でジッとしてもう死んでるとか思うのだけど ベランダの柵にふわりとまたがって風が吹くのを待ってる気分 旅先の夜にだけ浮かぶ自らの輪郭を手で確かめている ひとりきり狭い病室で咳をして きみの匂いが思い出せない 採血の管が6本窓か…

きみのこと好きすぎだろ3首

月面できみが好きだと叫ぶような届かぬ仕方で伝える愛だ 眠れずにきみの好きな歌口ずさむ深夜一時が続けばいいのに 致死量のきみの言葉で眠りたい 脅しでもいい罵倒でもいい

はじめまして 何度目まして

さて冬である。このブログは、「短歌の目」に参加するために作られた。他にも短歌を詠んだら載せていく所存である。ちなみに下手だ。しかし兼好法師は言った。上達する前から見てもらわにゃ上達せんよ、と。そういうわけだ。