そして毎日はつづいてく

I am always prepared to lie

テーマが必要

湿度の高い一日で、街中がプールみたいな匂いだった。夕方を過ぎてから雨が降り出し、雨粒が街の喧騒を閉じ込めてそれとはまた別の騒々しさを作り出す。バチバチという雨音は、楽しそうな音にも聞こえる。子どものようにはしゃいで、雨の中を飛び出していきたい。強い風に吹かれて転びながら、大きな雨粒を全身で受け止めたい。パンツまでぐっしょり濡れながら、キャアキャアと甲高い声で騒いでいたい。でも現実のわたしは大人だからそれをしない。傘を差して、家路を急ぐ。家には大雨が苦手な犬が震えながら、わたしの帰りを確かに待っているのだ。

なんとなく小説を書きたいけれど書きたいことが特に無い。
昔途中まで書いた小説とかを読み返しても文章も下手だし何が言いたいのかさっぱりわからない。そもそもインプットが少なすぎてアウトプットするのが憚られる。こんなんじゃ水嶋ヒロの方が面白い小説を書けるだろう。加藤シゲアキなんか雲上人だ。物語を書ききる力というのはすごい。

頭からベタ打ちで思いつくまま文章を書いたらどうなるだろうと思って書いたのがコレ。

「体は前向きにできてる」と嵐は歌ったし、とわたしは前を向く気合をいれるために鏡の前に立って自分の頬を叩く。パチンと音が鳴って、その現実的な痛みが前を向く力に変わることを期待する。パチンパチン。何度か叩く。でもただ単にほの痛いだけで心境になんらの変化も起こった気がしない。当たり前だ。そんなことで前を向けたら苦労はない。そもそも暗闇には前も後ろもないのだ。
 って、なに暗闇ってってわたしは笑う。そんなにわたし行き詰まってたっけ? そんなことない。公務員試験に受かって面接も通って市から内定をもらってるし准ちゃんとも順調だしそんなに沢山じゃないけど友だちだっている。家族が抱えているトラブルだってまったく無いわけではないけれどおそらく普通の範疇だし、とりたてて健康状態が悪いとかそういうこともない。そんな人が何暗闇とか言っちゃってんの、ともう一度苦笑する。「暗闇には前も後ろもない」なんておそらくどこかで聞いたことのある借用フレーズだ。ちょっとうまいこと言ってみたかっただけなのだ。心の中のことだけなのに。

「心の中のことだけなのに」って書いた記憶がなくて、面白いこというなあと自分で感心する。これから多用するかもしれない。「心の中のことだけなのに」

それにしても続きが全く思い浮かばないから、頭からベタ打ちというのはやはり正攻法ではないなと思う。テーマがあって、プロットがあって、人物があって、物語を作っていくのだ。